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音楽

公演後記-音楽に於ける格差問題-

投稿日:2014年8月22日 更新日:

8/18レストラン「アルテリーベ東京」におきましてアルテリーベ主催、藤原歌劇団経由で、準団員である香織が依頼を受けた月曜フレッシュコンサートへ出演させていただき、無事に公演が終了しました。
美女onレストランアルテリーベ
箱(舞台を含む隔離された空間のこと)と枠(40分40分の計80分)と条件(エンドユーザーの料金システム・料理、出演料)だけが決まっていて、コンセプトや演出等は皆無の状態からスタートしました。
とはいえ非常にありがたい企画で、出演料が交通費程度だったとしてもマイナスにはならないスタートからの公演で、ゼロからの企画よりも圧倒的に楽ですし、演出に集中することが出来ました。

僕も妻の香織も、音楽をやっていても基本は雇われ、与えられたコンセプトや演出の中、企画するといっても1、2曲自身が歌う曲を決め、オペラ重唱であれば演技を付ける程度で、今までは立体感を持ったレベルではありませんでした。
全編を考えて組み立てて公演出来たのは、恥ずかしながら正直、初めての経験でした。恐らく他のメンバーもそうだったかと思います。
わしもJAPAN浴衣

アルテリーベのフレッシュコンサートという企画

こちらはアルテリーベレストラン自体の存続と、オペラ及び声楽家ないしはクラシック音楽全体の裾野を広げるのに一役を担う企画であります。
具体的に申し上げますと、日本を代表する2大オペラ劇団”藤原歌劇団”と”二期会”の若手等へ声をかけ、隔週交代で各々の企画するコンサートを開きます。
アルテリーベ側としては常連以外の顧客の獲得と、優秀な出演者の確保が見込めます。(通常営業時は企画ではなくミュージックレストランのため食事がメインで、ほとんどBGMとしての扱いのようですが、先方が「それでは飽きてしまう」とはっきり言うのが印象的でした。非常に企画力と理解のある方とお見受けします。)
もちろん出演者はリスクを伴わず(客が少ないと客を呼べない演者のレッテルは貼られますが)、演奏機会を得ます。
いわいるwinwinの状態です。
アルテリーベ店内

ニッチではない格差社会

別の業界というか、日本の悪しき習慣かもしれません、ほとんどの業界に於いて、非常に格差が目立ちます。
金銭的な格差については皆さん実感があるかと思いますが、もらう側ではなく選ぶ側としても例えば、国内生産の家電は画一化の為に海外のメーカーに先を越されていますね。
本来であれば”個性”や”差別化”は「多様性」を持ってベクトルが向くべきではありますが、日本の場合はなんとも極端な例が多いのであります。大手企業と派遣社員、A級グルメとB級グルメ、先端医療と国民皆保険、漫画本誌と同人誌等々様々です。
画一化と差別化

音楽における格差とは

僕が外で習っていた声楽の先生は「音楽だけはいきなり一流に触れられる稀有な業界」とよく言っていました。その点については僕も異論はありません。”いきなり一流に触れる”ことに関しては、1度だけであればさぞ感銘を受けることでしょう。東京オリンピックを生で子供に見せてあげたい気持ちは多分に理解できます。(一番人気は体操の内村選手でしょうね)
しかし一流だけで業界は成り立ちません。いきなり一流に”触れる”ことは出来ても”成る”ことは決してありませんから。たとえ専門学校を出てもプロの演奏家にははるかに遠く、そこまで”成る”ための場所が大変不足しているのです。

プロに成る為の市場

上記で挙げた漫画、作家の世界における”同人誌”がとても良い例で、本誌と同人誌では雲泥の差がありますが、それでも同人誌というのは今ではコミケという愛称で親しまれ、既にマーケットがしっかりと確立されています。下の階級が広くアピールする機会があるわけです。
ですがことクラシック音楽業界(ないしは舞台関係)に関しては、箱物事業で作りまくった第三セクターと呼ばれるコミュニティセンターは山ほどあるのに、一般に広く知らしめる機会がとても少ないのです。コミケやフェスなどと違い、一定時間立ち止まらせる時間と空間が必要になります。
コンサートホール
そもそも演者(歌手)は業界内で活動していて外への接触が少ないのに加え、演奏するにはそれなりの箱に囲い込む必要があります。無論会場を借りるお金が必要です。雇われて出演するのはせいぜい合唱で、また、合唱ばかり歌うとオペラ歌手は下手になると言われています。
個人が会場を借りるのはマネタイズが非常に難しいのです。
派手に言い換えれば家族がいない一人身が結婚をしたくて、2階建5LDK一軒家を買うようなもんでしょうか。この場合選択肢がワンルームか一軒家の2択と考えてください。2流が背伸びし過ぎて本末転倒です。

業界への新規開拓

観客の方も新しい分野へ飛び込むのは敷居が高いものです。ある程度囲い込んだ顧客しか触れる機会すら難しいのですから、業界人(上司や同僚)か出演者の家族か友人しか来ません。舞台芸術が進歩しない、最も悪しき環境です。
その点、アルテリーベというレストランを挟むと、「食事」という共通の情報を共有出来る為敷居がはるかに下がります。またMAX70名というのも、一人20人ずつ呼ぶとすれば調度良いサイズなのです。食事にも力を入れてくれているので、音楽がつまらなかった場合(この場合ほとんどは企画)音楽がハズレでも大損はしません。
アルテリーベ_料理
ではなぜ業界が成長出来ず、2流が一流になる為の真ん中の機会が極端に少ないのか。

まずひとつには業界全体が育っていないこと。
クラシック音楽はスポーツと同じ特殊な技術の専門家であって、ネゴシエーションが得意ではないのに、他人がマネジメントするという概念が弱いこと(大体の場合はプロダクションに所属しますが)。僕の知り合いで音楽を仕事として続けている人間は例外なく押しが強く、営業上手です。
二つ目に村社会であること。
クラシック音楽の分野は、近代POPSと違ってマイナーな分野です。市場が最初から狭いのです。さらに言うなれば、そもそもの文化として日本発ではありません。経緯を踏まえて大きく広める、橋渡しになれるスターがなかなか存在しないのです。(また格差の話で言えばテレビに出るような有名な音楽家であれば客を呼べます。が、個人のファンであり業界のファンへは程遠い)また有名どころは高いです。「もう少し安くて良い演奏が聞ければ」…実はクラシックに関して言えばそんな演奏会はたくさんあります。
ヴァイオリン演奏
失礼ながら申しますが、歴史に基づく技術と訓練量がその辺のバンドや演劇とは違いますから。当たりは多いとはっきり申し上げます。

ただ古典を演奏するだけではつまらない

舞台に立つことは一筋縄では行きません。訓練に訓練を重ね、十分な演技が出来たとしても、お客さんの空気によっては受け入れられない場合も往々にしてあるのです。

・・・っと、ついつい舞台業界全体とマネタイズについて熱くなり、前振りがあまりに長くなってしまったので、公演の演出の細かい反省は次回投稿にしたいと思います。

我々はクラシック音楽や舞台の裾野を広げる為に、”面白い体験を共有する”をコンセプトに活動していきます。
わしもJAPANinアルテリーベ

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